瀬戸染付について
染付は白地の素地にコバルト顔料(呉須絵具)による絵付を施し、その上に軸薬をかけて焼成したものをいいます。
19世紀初め、加藤民吉等が磁器の焼成(しょうせい)技術を瀬戸の地で広めたことが起源となっています。その後、絵師から絵付の指導を受け、南宋風の絵画を施す技術などが加わって急速に発展し、今日の瀬戸染付焼の基礎が確立されました。
砂婆(さば)と呼ばれる風化した花崗岩に、木節粘土、蛙目粘土などを混ぜたやわらかな味わいを持った素地に藍色を基調とした色彩で繊細な自然画や鳥、花などを筆で描く技術と、潤いを持った仕上がりが特徴です。主な技法には、細かい線で描く「線書」、濃淡をつける「ダミ」、輪郭なしで直接描く「つけたて」があります。
一般的には、磁器のものをさしますが、瀬戸染付焼ではその前身となった陶胎染付(陶器への染付)も含めて、一味違った味わいに人気があります。
必要な材料や用具
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素焼き
粘土で形作り、乾燥させて800℃で焼いたものです。釉薬をかける前のもので壊れやすく、色は肌色、多孔質であることを特徴とし、保水性・透過性などに富みます。
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筆
面相筆、ダミ筆など工程によって使い分けて描きます。
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下絵の具(ゴス)
素焼きの生地に使用する専用の絵の具です。釉薬の下に使われるので「下絵の具」と呼びます。コバルトを主成分とした顔料で、焼成前は薄墨のような色をしており、焼成すると美しい藍色に発色します。
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溶剤
絵の具は水で描きやすい程度に練って使用します。
基本制作手順
- ①素焼きに竹紙[チクシ]とバイオレットインク(岩紫とも呼ばれる)で下描きをする。(捻紙どり[ネンシドリ])
- ②呉須[ゴス]による骨描きをする。(アウトライン)
- ③ダミ筆を使い、骨描きに水で薄めた呉須で色を入れる。(和の絵付けでは、色付けをすることを"ダミ"と呼びます)
- ④透明釉薬を掛け、1280℃で還元焼成をし完成。